MinecraftでPDCAを学ぶ ― 書見台と本で動くタイマー「PDCATimer」プラグイン
マインクラフトの世界では、家を建てたり、道具を作ったりと、プレイヤーが自分の意思で目標を立てて行動します。これを「計画(Plan)→実行(Do)→確認(Check)→改善(Act)」というPDCAサイクルの流れに落とし込むと、遊びながら自然に“考えて動く”練習になります。
この発想から、「マインクラフトでPDCAを回す」という取り組みを続けており、これまでにホワイトボード型のプラグインなどを開発してきました。
そして今回、その流れをさらにサポートするために、時間管理に特化したPaperプラグイン「PDCATimer」を公開しました。
書見台に置いた本がタイマーになる
このプラグインの特徴は、「本と書見台」というマインクラフト本来の要素を活用している点です。
本にタイマーの設定情報を書き込み、書見台に設置すると自動でタイマーがスタートします。
複雑なコマンドを打つ必要はありません。ゲーム内の道具だけで完結します。
たとえば次のように書き込むだけで、PDCAセッションを始められます。
[PDCA] [1]30m: ぜんはん [2]2m: ぜんはんのふりかえり [3]30m: こうはん [4]5m: きょうのまとめとじかいのもくひょうせってい
本を設置すると、画面上部にゲージが表示され、時間が減っていく様子を確認できます。
残り時間が少なくなると色が変化し、集中力を切らさずに作業を続けられるよう設計しました。
なぜ時間管理を組み込むのか
PDCAサイクルでは、計画や振り返りをダラダラ続けるのではなく、一定の時間で区切ることが重要です。
特に子どもたちと一緒に学ぶ場合、「あと5分で終わり」といった感覚をゲーム内で可視化できると、
自然と時間感覚と集中力が身につきます。
また、書見台を使うことで「行動を始めるトリガー」が明確になります。
現実世界で言えば、タイムカードを押すようなもの。
一度設置したら、あとは時間を見ながら行動に集中するだけです。
開発の経緯と目標
これまでに作ってきた「Whiteboard」プラグインでは、PDCAの計画や振り返りを可視化することが目的でした。
しかし、「実際に行動する時間」をサポートする仕組みが不足していました。
PDCATimerはその補完として、PDCAの「Do(実行)」フェーズに焦点を当てています。
目標は、
- 一回のセッションを30分以内に区切る
- 計画→実行→振り返りを1時間以内で回す
というタイムボックス形式のPDCAサイクルをMinecraftの中で実現することです。
教育現場での活用や、チームでの学習活動にも展開できるよう意識しました。
技術的な仕組み
PDCATimerはPaperMC(Spigot互換)向けに作成されたプラグインで、
イベントリスナーによって「書見台への設置イベント」を検知します。
設置された本の内容を解析し、時間情報を読み取ってBukkitのスケジューラーでカウントを進め、
タイトル表示(ActionBar)にゲージを描画しています。
Paper環境であれば、次のように簡単に導入できます。
- PDCATimerのHangarページから最新版をダウンロード
- サーバの plugins フォルダに .jar を配置
- サーバを再起動
- 本に設定を書いて書見台に置くとスタート!
ソースコードはGitHubで公開しています。
今後の展望
複数人で共有できるタイマーや、残り時間をチャットに同期表示する機能も予定しています。
Minecraftは「遊び」と「学び」を自然に接続できる貴重なプラットフォームです。
PDCATimerが、その橋渡しになるよう願っています。
まとめ:時間を意識することで学びが変わる
PDCATimerは、「自分で決めた時間の中で行動し、振り返る」
この当たり前のサイクルを、マインクラフトの中で体験的に学べる仕組みです。
時間を意識することは、結果を意識することでもあります。
子どもも大人も、楽しみながら“考えて行動する力”を磨くことができる。
そんな学びの形を、マインクラフトを通してこれからも模索していきます。








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