マインクラフトサーバの構築方法:子どもと学ぶためのPaperサーバ構築ガイド

マインクラフトは単なるゲームではなく、創造力や論理的思考を育てる教材としても注目されています。
特に、「目標を立て、行動し、振り返り、改善する」PDCAサイクルを自然に学べる点は、教育的にも非常に魅力的です。

今回の記事では、

  • 子どもと一緒にPDCAサイクルを回す練習をしたい
  • でも、工業化MODのような複雑な環境は不要
  • プラグインで必要な機能だけを追加したい
    という目的から、Paperサーバを立てた経緯と構築手順をまとめます。

目次

比較:サーバの種類とその特徴

マインクラフトのサーバにはいくつかの系統があり、それぞれに長所・短所があります。
まずは代表的なサーバソフトを整理します。

名称 種類 MOD対応 プラグイン対応 クライアント側の準備 特徴 主な用途
Vanilla(公式) Mojang公式 × × 不要 最もシンプル。バージョン互換性が高いが機能拡張不可 純粋にマイクラを楽しみたい場合
Bukkit 非公式(初期のMOD API) × 不要 プラグインシステムの原型。開発は停止済み 歴史的サーバ、古い資料向け
Spigot Bukkit派生 × 不要 パフォーマンス改善と安定性強化。多くのプラグインが対応 汎用マルチプレイサーバ
Paper Spigot派生(高性能版) × 不要 高速・省メモリ。開発が活発で最新バージョン対応 教育・軽量サーバ構築に最適
Fabric MOD対応 × 必要 軽量なMOD環境。クライアントと同じMOD構成が必要 技術・工業系MODを使う環境向け
Forge MOD対応 × 必要 豊富なMODが存在。重量級・設定が複雑 本格的な工業・魔法系MOD環境

なぜPaperサーバを選んだのか

教育目的のサーバとして重要なのは「手軽さ」と「拡張性」の両立です。

  1. 子どものクライアント環境をシンプルに保ちたい
    → MOD方式(Fabric/Forge)は、クライアントにも同じMODを入れる必要があるため、子どもの端末ごとに設定が面倒。
    Paperはプラグイン方式なので、サーバ側にプラグインを入れるだけで拡張可能。
  2. 教育的な拡張がしやすい
    → プラグインは「看板」「コマンド」「ボード」などの機能を自由に追加可能。
    例えば、次回紹介する「ホワイトボードプラグイン」では、子どもが本に書いた内容をサーバ内のボードに反映できます。
    これにより「目標」「振り返り」をMinecraft内で可視化できます。
  3. 安定性と軽さ
    → PaperはSpigotより最適化が進んでおり、同一ハードウェアでもラグが少ない。
    小規模な教育サーバに最適です。

Paperサーバの構築手順(Ubuntu例)

ここではLinux(Ubuntu 24.04など)でのセットアップ手順を紹介します。
Windowsでも同様に可能ですが、Linuxサーバのほうが常時稼働には向いています。

Javaのインストール

PaperはJava 21以降に対応しています。

sudo apt update
sudo apt install openjdk-21-jdk
java -version

Paperのダウンロード

PaperMC公式サイトから最新版を取得します。
https://papermc.io/downloads/paper

curl -O https://api.papermc.io/v2/projects/paper/versions/1.21.9/builds/47/downloads/paper-1.21.9-47.jar

サーバの初回起動

java -Xmx2G -Xms1G -jar paper-1.21.9-47.jar nogui

-Xmx は最大メモリ(例:2G = 2GB)

初回起動時に eula.txt が生成されます。

利用規約に同意

nano eula.txt

eula=false を eula=true に変更して保存。

再起動してサーバを起動

java -Xmx2G -Xms1G -jar paper-1.21.9-47.jar nogui

これでサーバが稼働します。

サーバへの接続

クライアント側でマインクラフトを起動し、
「マルチプレイ」→「サーバ追加」から、
サーバのIPアドレスを指定します。


次回予告:ホワイトボードプラグインの導入

Paperサーバの魅力は「サーバ側だけで機能を増やせる」ことです。
次回の記事では、教育的な目的にぴったりなプラグイン
—— ホワイトボードプラグイン(Whiteboard Plugin) を自作したので導入方法と使い方を紹介します。

本を使って目標を書き出し、実際のゲーム空間に「可視化」する仕組みを作ります。
これにより、Minecraftが「遊び場」から「学びの場」に変わります。

まとめ

  • MODを入れなくても、Paperサーバならプラグインで柔軟に拡張可能
  • 子ども用のクライアント設定が不要で導入が簡単
  • 教育的なPDCA活動を支援するツール構築にも最適

Paperは「シンプル × 拡張性 × 安定性」を兼ね備えたサーバです。
次回はこのサーバ上に、実際にホワイトボードプラグインを導入して、
「MinecraftでPDCAを回す環境」を整備していきます。