デスクトップPCの電源故障と復旧

結論から申し上げますと、今回の「PCのファンは回るが画面が映らない」という不具合の原因は電源ユニットの経年劣化であり、新しい電源ユニットへの交換によって完全に解決しました。

不具合の具体的な現象としては、デスクトップPCの電源ボタンを押した際、CPUファンやグラフィックボード(GPU)のファンは正常に回転し、各パーツのLEDも点灯するものの、画面には何も表示されずBIOSすら起動しないという状態です。

この症状には約1年前から予兆がありました。シャットダウン後にPCがすんなり起動しなくなることが数回あり、その都度、電源ユニット付近から「チッチッチッチ」という規則的な異音が聞こえていました。当時は主電源やコンセントのオンオフを繰り返すことで何とか起動できていたため、根本的な修理を行わずに放置していました。しかし昨日、ついにこの方法でも一切起動しない状態に陥りました。

目次

起動しなくなったPCの修復

今回の復旧における目的は、完全に沈黙してしまったPCの不具合原因を論理的な手順によって突き止め、再び安全に画面が出力される正常な動作状態へ復旧させることです。

原因が不明な段階で闇雲にパーツを買い替えるのではなく、手持ちの環境で実施できる検証を尽くした上で、正確な判断によって動作環境を取り戻すことを運用の狙いとしました。

検証ステップによる原因特定

当てずっぽうなパーツ交換を避け、検証プロセスを「①メモリの確認」「②マザーボードの初期化」「③電源環境の検証」という【3ステップ以内】に抑えて確実に原因を特定することにしました。

定番対策の全滅と予備電源で検証できない物理的障壁

復旧に向けて、まずは検証の第1ステップであるメモリの挿し直し、スロットの変更、1枚挿しでの起動テストを行いましたが、画面に変化はありませんでした。続く第2ステップとして、マザーボードのボタン電池を取り外してコンセントを抜き、放電によるCMOSクリア(BIOS初期化)を実施しましたが、症状は一切改善しませんでした。

基本対策が全滅したことから、消去法によって第3ステップである電源ユニットが最も怪しいと目星をつけました。過去に発生していた「チッチッチッ」という異音は、電源ユニット内部の保護回路が作動と遮断を高速で繰り返す「保護回路のループ状態」であった可能性が推定されます。

しかし、ここで物理的な障壁に直面しました。自宅にあった古い予備電源には、RTX 3060に必要な「GPU用のPCIe 8pin電源コネクタ」が備わっていなかったため、手持ちの機材では交換テストによる原因の切り分けや特定が物理的に不可能な状況(手詰まり)となったのです。

そのため、検証を兼ねて新たな電源ユニットを実際に購入し、テストする方針へと切り替えました。選定の条件は、「安価であること」「容量が600W前後であること」「PCIe 8pinを搭載していること」「これまでの80PLUS Bronzeを超える高効率であること」の4点です。

電源の選定

これまで使用していた電源は、2021年2月末に購入したサイズ製の「剛力短2」でした。購入から約5年が経過していましたが、この製品自体の発売時期は2011年〜2013年頃であり、設計自体が十数年前のものです。経年劣化によって内部コンデンサなどの寿命を迎え、実質的な出力特性が著しく低下していたことが不具合の根本原因であると推測しました。

新調する電源の容量を決定するため、現在のパーツ構成における最大消費電力を試算しました。

CPU: Ryzen 3 3100(最大約88W)

GPU: GeForce RTX 3060(定格170W)

その他(メモリ、SSD、マザーボード等): 約33W

パーツがフル負荷で動作した際のシステム総消費電力は約300W程度となります。今回、購入候補とした「ASRock PRO-650G」の製品箱裏に掲載されている効率グラフ(115V/60Hz環境時)を確認すると、20%負荷時に約88%、50%負荷時に約90%、100%負荷時に約87.5%という、50%負荷時を頂点とする弓型の効率曲線を描いていました。なお、230V/50Hz環境下では全体的にさらに約1%効率が向上する特性を持っています。

ATX電源の効率グラフ

この仕様から、フル負荷時の約300Wが効率曲線のピークである「50%負荷」に相当するよう、条件を満たす容量650W・80PLUS GOLD認証・最新規格ATX 3.1対応の同製品を選定し、交換を実施しました。

原因の特定

新調した電源ユニットへすべての配線を繋ぎ替え、起動テストを行ったところ、これまでの動作不良が嘘のように一発でBIOSが起動し、画面が正常に出力されました。この交換テストの結果をもって、予備電源がなく手詰まりだったPC不調の原因が、やはり「電源ユニットの劣化」であったと完全に特定することができました。

まとめ

PCのファンは回るが画面が映らない現象が発生し、メモリ挿し直しやCMOSクリアでも復旧しませんでした。自宅の予備電源にはGPU用8pinがなく検証不能だったため、消去法で電源を疑い、フル負荷300Wに対し製品箱裏のグラフで最高効率(50%負荷時に90%)となる容量650Wの「ASRock PRO-650G」を新たに購入して交換しました。その結果、一発で正常起動を達成し、不調の原因が2021年購入の古い電源「剛力短2」の劣化であったと特定できました。最新のGOLD認証規格への刷新により、 Bronzeを超える省電力性と、理想的な負荷率による低発熱・静音な安定環境を構築できました。

DIY&修理BIOS,CMOS

Posted by 納戸 工房