ダイソン互換フィルタと3Dプリンタで作るサイクロン集塵機用インライン微粉塵フィルタ
工房での木工作業では、100円ショップのボトルと3Dプリントパーツで自作したサイクロン集塵機と、ツインバードのサイクロン掃除機を直列に繋いで集塵を行っています。
丸ノコやトリマーから出る粗い木屑は1段目の自作サイクロンで問題なく遠心分離できますが、サンディング作業などで発生する微細な粉塵は質量が軽いため、遠心力で落としきれずに排気側へ抜けてしまいます。その結果、ホースを通過した微細粉塵が掃除機本体のダストケース内部やフィルターにびっしりと付着し、頻繁な目詰まりとフィルター清掃の手間が発生していました。
サイクロンと掃除機の中間で微細粉塵を遮断するインラインフィルタの導入
家庭用掃除機のモーターは、吸い込んだ空気自体を内部に通過させて冷却する構造になっています。掃除機本体のフィルターが目詰まりして風量が落ちると、吸引力が低下するだけでなく、モーターの冷却効率が落ちて過熱する原因にもなります。
掃除機本体のフィルター掃除の手間をなくし、安定した吸引性能を維持するため、自作サイクロンと掃除機を繋ぐホースの途中に、微細粉塵のみを専門に捕捉するインラインフィルター(中間チャンバー)を増設することにしました。
水フィルタのリスクと小型3Dプリンタの造形サイズ制限
微細粉塵をトラップする手法として、当初は水を張った容器に空気をくぐらせる「水フィルター(湿式)」も検討しました。しかし、気泡が弾ける際に発生する微細な水滴(ミスト)や湿気を掃除機が吸い込むと、モーターの絶縁破壊や故障に直結するリスクがあります。また、水深による圧力損失も無視できないため、乾式の高密度フィルターを採用する方針に切り替えました。
乾式フィルターの選定では、全高35mm〜48mm程度の小型円錐カートリッジフィルターも候補に挙がりましたが、計算上の見かけ表面積が約26〜33平方センチメートルと小さく、微細粉塵の膜(ケーキ層)によって短時間で目詰まりを起こす懸念がありました。
一方、ろ過面積が広いダイソン掃除機用の細長いプレモーターフィルター(全長約17cm)であれば約150平方センチメートルの表面積を確保できますが、今度は所有している3Dプリンタの造形サイズ(100×100×100mm)に収まらないため、ハウジングを一括出力できないという課題がありました。
ダイソン互換フィルタの採用と2分割ハウジングの3Dプリント製作
ろ過面積とコストパフォーマンスを両立するため、今回はダイソンV6、V7、V8シリーズ用の互換プレモーターフィルター(2本セット)を採用しました。
このフィルターは全長約17cm、上部外径約4.8cm、先端径約2.5cmのスティック形状をしており、ヒダ状の不織布によって0.3ミクロンの粒子までカットできる仕様になっています。水洗いして繰り返し使用できるため、ランニングコストもかかりません。
100×100×100mmの造形制限をクリアするため、ハウジングは吸気側と排気側の2パーツに分割して設計・出力する方式(完全3Dプリント完結型)を採りました。
【インラインフィルターの構成仕様】 ・使用フィルター:ダイソン V6/V7/V8 互換プレモーターフィルター(全長約170mm × 最大径約48mm) ・接続ホース内径:21mm(断面積 約3.5cm2) ・フィルター見かけ側面積:約150cm2(ホース断面積比 約43倍) ・ハウジング構造:3Dプリントによる上下2分割カプセル構造(造形制限100mm角以内に対応)
両端には内径21mmのホースがそのまま差し込めるノズルと、気流を広げるテーパー形状を設けています。分割して出力した2つの筒状パーツの内部にダイソン互換フィルターをセットし、中央部で連結・密閉することで、全長17cmのフィルターを収めるインラインハウジングを完成させました。
3段集塵システムへの組み込みと微細粉塵の遮断効果
完成したインラインフィルターを、自作サイクロン(1段目)とツインバード掃除機(3段目)の間にホースで割り込ませ、3段構成の集塵システムとして組み込みました。
ハウジングは内部の汚れ具合が確認できるよう半透明のフィラメントで出力しましたが、実際に組み立ててみると中身がぼんやりと透けて見える程度であり、当初想定していたほど一目では状態を判別できませんでした。それでも、茶色い木工粉塵が堆積してフィルター全体が色づいてくれば、おおよその交換・清掃時期の目安にはなりそうです。
まだ本格的な木工作業での集塵テストは行っていませんが、ホース断面積に対して約43倍の表面積を持つフィルターを中間に配置したことで、吸引力を大きく損なわずに微細粉塵を遮断し、掃除機本体のクリーンな状態を維持できると想定しています。フィルターは2本セットのため、目詰まりした際も予備フィルターと交互に水洗い・乾燥させながら運用していく予定です。
まとめ
自作サイクロン集塵機をすり抜けて掃除機本体のフィルターを目詰まりさせる微細粉塵への対策として、ホース中間に挟むインラインフィルターを製作しました。圧力損失を抑えるため表面積の広いダイソンV6/V7/V8互換フィルター(全長約17cm)を採用し、3Dプリンタの造形サイズ制限(100mm角)は、ハウジングをBody・Bottom・Headの3パーツに分割出力して組み合わせる設計で解決しています。半透明ケースの視認性はぼんやりと色づきが分かる程度ですが、今後は吸引力を維持しつつ0.3ミクロンレベルの微粉塵を掃除機の手前で遮断できる見込みです。


